毒(2)

  • 2013.08.15 Thursday
  • 00:47

*

「畳の上にたれた福耳は、南九州の漁村によくみかける長寿者の相をしていた。九十歳にて刺子(さしこ)の丹前を繕う針のめどをとおし、百歳に達して、漁の天気をその嗅覚で占うたぐいの人間であったにちがいないのだ。仙助老人がそうやって、グロテスクな測定器にとらわれるようにして仰向けに寝ているということは、いかに彼が自若としているようにみえても、それは天然自然に反していることである。いわれなく処刑されつつある人間の像をみるように、私は、仙助老人をみていた。・・・

兵隊検査の時のほか『一ぺんも医者殿にかかったことのなかった体ぞ』というのが、ついぞ老人性の自慢話というものを、しなかった彼が、ただひとつ、その丸い鼻先でみずからの鼻毛をふくようなぶっちょう面で話した自慢話であったことを、村の人間は今でも覚えている。

『この病(びょう)にさえかからんば、あん爺さまは、きっと百まで生きらす爺さまじゃったよ』と女房たちは彼の死について語るとき、必ずつけ加えるのである。」

(『苦海浄土』 石牟礼道子)


「毒」といえば、これがほんとうの毒なんですが

小さな、風光明媚の漁湾沿岸地区の、生活水準の低い部落の

村の人にその毒が流れていって

そこではじめて気づくのです。


「グローバル」という言葉は、

小さな国が、その立場になるという意味に聞こえるんですが

どうなんでしょう。






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毒(1)

  • 2013.08.14 Wednesday
  • 23:36

*

「私のこの地方では、一昔前までは、葬列というものは、雨であろうと雪であろうと、笛を吹き、かねを鳴らし、キンランや五色の旗を吹き流し、いや、旗一本立たぬつつましやかな葬列といえども、道のど真ん中を粛々と行進し、馬車引きは車をとめ、自動車などというものは後にすさり、葬列を作る人びとは喪服を晴着にかえ、涙のうちにも一種の晴れがましささえ匂わせて、道のべの見物衆を圧して通ったものであった。死者たちの大半は、多かれ少なかれ、生前不幸ならざるはなかったが、ひとたび死者になり替われば、粛然たる親愛と敬意をもって葬送の礼をおくられたのである。

いま昭和四十年二月七日、日本国熊本県水俣市出月の、漁夫にして人夫であった水俣病四十人目の死者、荒木辰夫の葬列は、うなりを立てて連なるトラックに道をゆずり、ぬかるみの泥をかけられ、道幅八メートルの国道三号線のはしっこを、田んぼの中に落ちこぼれんばかりによろけながら、のろのろと、ひっそり、海の方にむけて掘られてある墓地にむけて歩いて行ったのだ」

(『苦海浄土』 石牟礼道子)


心をむしばむ「毒」って、こういうことなんじゃないかな・・・と思います。


お盆に、ご先祖様をお迎えにいくならわしって良いなぁと思うんですが

好きとか嫌いに関わらず、子供の頃は行われているものでした。

そういうふうに、亡くなった人を、死後も大事に、尊重しているのだと

なんとなく感じる空気が

「自分」の「心」や「価値観」を少しずつ、作っていくのだと思います。






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『魂の森を行け』

  • 2012.11.06 Tuesday
  • 00:33

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『木を植えよ!』の宮脇昭さんの人生を描いたノンフィクション。

自分の過去の話ってドラマチックに語りがちなもの・・・と思うので

自伝とか、武勇伝はあえて、ちょっと「話半分くらいの気持ち」で聞こうとしていますが、

休みない分刻みのスケジュールで日本列島を歩き作られた『日本植生誌』の話や、

マレー半島のマングローブ林の踏査のくだりを読んでいたら

そんじょそこらのドラマではなく、

その人生の過密な時間、情熱と狂気に圧倒されます。


たとえ、そのやり方や、科学的評価において批判の声があろうとも、

人は結局、大義をもって命をかけて突き進んでいる人に惹かれるのだと思います。


歩いて、なめて、触って・・・3000万本の木を植えた男

(しかも今なお進行形)・宮脇昭さんの含蓄ある言葉はたくさんありますが、どこか一つ引用するなら


「で、いま大事なことは、植物の世界でも偽物が横行していると言いましたけれどね、本物と偽物を見分ける研ぎ澄まされた動物的な勘を養い、さらには十分な現地調査やこういう現場体験を重ね、さらに本を読んだりして、知見と動物的な勘と人間的な知恵で本物と偽物を見分ける力をつけることが一番大事なんですよ。

計算は計算機がやってくれるし、測定も測定器がやってくれる。人間に残された唯一の能力は、自然が発している微かな情報から見えないものの全体をどう読みとって、問題が起きる前に対処するか。」



ここかなぁ・・・と思っていたら、最後の坪内祐三さんによる「解説」でも引用されていました。

この「解説」がまたとても良かったです。品があります。


もう一箇所引用しておきます。

「悪平等っていうのは、危険な状態なんですね。高木はそれに応じて高木にしなきゃいけない。

・・・高木、亜高木、低木、下草とそれぞれが多様な自然環境に応じた種の特性にそって多彩な生物社会をつくる。それぞれの種の能力に応じて、精一杯生きるのが生物社会の健全な状態なんです。」



地球上のすべての生物に言えることはつまり、精一杯生きること。





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『ハーバード白熱日本史教室』

  • 2012.07.10 Tuesday
  • 22:35
*
ブックファーストでベストセラーの棚に並んでいて

「1980年生まれの女性がハーバードで授業をしている?!」

通常の展開ではありえないことでしょうから、そこにはきっとすごいドラマがあるに違いないと思って購入しました。

いやもう、とてもエキサイティング

電車の中で夢中で読んでいて乗り過ごしたかと思ったほどです。この日はなかなか眠れませんでした。

著者は、「好きなことに集中し続けてこられた」という強運と

カナダの大学を数学と生命科学のW専攻を3年で卒業、

その後ひょんなきっかけから「日本史」を勉強するために大学院へ進学、

ハーバードへ夏季留学をしたことをきっかけに、アメリカの大学の博士課程に進学、3年で博士号取得・・・

というものすごい才能の持ち主です。

さらに、ハーバード大に新設されたばかりの制度に応募し、ついにハーバードで日本中世史を教える先生になります。

本書のメインはここから、

著者の「斬新な教え方」によって、人気のない東アジア学部の中の「日本史」の授業が、学生たちから絶大な評価を受けていく・・・

爽快なお話ではないですか?


よく、

「わくわくすることだけに集中すると、宇宙が味方してくれる」

というお話を聞きますが、こういうことかという快進撃です。

実際、こんながむしゃらで魅力的な人を、周囲の人が応援しないわけがないと思います。

アジア人であること、女性であることで苦労されたこともそれはたくさんあったと思いますが・・・。


これは本文の内容と関係なく、私の個人的な感情なのですが、私はこの本を読むうちに

あることを、すぱーんと切り離すことができました。

いやだなぁ・・・と思っていた過去のいろんなことがきれいさっぱり、遠く離れた話になりました。

昔のことを否定的に考えている時間は、もったいないですね。

あぁすっきりしました。


ちなみにAmazonのレビューをちらっと見ると

「きっとこういうことを言う人がいそう・・・」と思ったような低評価のレビューがあり、

それには驚かなかったのですが、

批判的コメントの多さには驚きました。


著者の前提も意図も無視したコメントにはがっかりしますが、がっかりするのには慣れっこです。


私は日本史が苦手なので、どんどん新しい切り口で日本史を見せていただきたいですし、

教師ではなくとも、私達日本人一人一人が、史実に基づき日本史観を改める時です。

「日本とはいったいどんな国で、世界の人々にどんな見方をしてほしいのか。」

という、共通のイデオロギーの構築にも期待しています。








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Lara SOIL〜 阪急夙川〜阪神/JR芦屋〜阪神西宮〜英語、妊娠中の方、男性も承ります〜

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